明王台の家
『明王台の家』
敷地は高台にある似たような形や色が点在している開発分譲団地での計画だった。
まるで降ってきたかのように現れた土地情報に、建て主と僕らは食いついた。現地に行くと団地ではあるものの、竹林や木々のそばにある敷地であり、
この森を感じながら暮らしていける空間をつくれないか、と考えた。
建て主の趣味はレコードを聴くという事。お気に入りのレコードを、お気に入りのアンプと、どでかいスピーカーで聞く。
大きな窓を作り、窓のそばにスピーカーを配置し、外の木々を見ながら過ごす。
暮らしの中で外にいるのと同じくらい、自然と木々を目にする機会が増えることで、
自分が大地の上で生活をしている事が日々感じられるし、住宅という箱の中が、よりいきいきとした場所になるのではないかと考えた。
陽がのぼり、光が差し込む。風が吹いて枝葉が揺れる。そんなあたりまえの事々をしっかり感じとりながら、夫婦がなにげない日常をおくっていく家になってほしいと感じている。