HOUSE O
「HOUSE O」
敷地は大通りから少し離れ、坂道を登る小高い丘の上の一画が敷地である。
独特の形をした土地であったが風通りも良く、眺望にも恵まれ、環境も穏やかで静かな場所であったので、建主と共にここにしようと決めた。
建物を計画していく中で、いくつかの小さな居場所をつくり、その場所には名前をつけない事にした。
どの場所もご飯を食べればダイニングになり、布団を持っていけば寝室になる。名前のない居場所が集まってできた家である。
この家の一番高い位置にある居場所の窓は、高さを低くし、腰をかけたりノートを広げられる奥行きをもたせ、勉強をしたりお茶を飲んだり、窓が窓以上のものになりつつ、住んでいる町やそこから見える鮮やかな空をしっかり感じられる空間を目指した。
高さのある吹き抜けをつくり、「家のどこにいても家族の気配が感じられたら。」そんな想いをもった建主の要望に建物を寄り添わせた。
その吹き抜けは窓を開け放てば風が流れ、ハイサイドから差し込む光や、家族の音、ごはんのおいしそうな匂いだって、その吹き抜けを通り、家族と繋がっていく。そんな事を思い描いて、建主と共につくった家である。