駅家の平屋
『駅家の平屋』
土地探しから始まった今回の家づくり。
20区画のうち、南側に山が見える唯一の区画だった。
調整区域のため、今後近隣に住宅が建つことがなく、
南側の山の景色はこの先ずっと見られるであろうと、この土地を提案した。
あの山がずっと綺麗に見えるように、どう設計するか。
それが今回の家づくりの一番のテーマであった。
玄関からリビングへと広がるワイドな窓は、
山の尾根を横長に、山々を一望できる。
その窓とは対照的に、小さく絞ったDKの窓からは、山が切り取った絵のように見える。
そこから差し込む光が、
天井高を上げたDKの余白の中で混ざり合い、気持ちの良い空間が生まれる。
造作ソファを設置したリビングの床は、
玄関から続けてタイルを貼ることで、窓と同じく繋がりをもたせた。
どの部屋にいても山の見え方を楽しめるよう、
それぞれの窓の性格を読み取りながらつくった空間である。
平屋ではあるが、ロフトを作り、そこを子どもたちが寝られる子ども部屋に。
その下に、子どもたち二人の勉強部屋をつくり、
同じ空間に共同して過ごせるようにした。
開放的なリビングでありながら、余白と落ち着きのある空間をつくりたかった今回の建築は、山の姿を楽しめるこの土地だからこそ実現できた。
光・風・山の尾根を感じながら、おおらかに、
ゆとりを持った暮らしを味わっていただきたい。