東深津の家
~東深津の家~
この住居は賑やかな大通りから少し離れた、静かでのんびりとした住宅街の一角にある。しかしアパートに囲まれており年月を重ねると共にアパートの住人も入れ替わっていく。そんな未来の隣人達との距離感を考えた住宅である。
アパートや住宅からの視線を気にせず暮らしたいとのリクエストであったので、閉ざした中での解放感を目指し、窓で庭を包む内包的な場所をつくった。
外に向けては閉鎖的な建物になるが、それを感じない空間構成としたいと考え、天井高を上げ、間に収納や飾り棚となる水平壁をつくった。そこでは緑が育ったり、あまり使わなくなった子供たちのおもちゃが置かれていくなど、住みこなされる中でそこもまた大きく育っていく場所となる。
天井高をあげたリビングには、面いっぱいのレースカーテンをしつらえ、コントロールでは生み出せない風と空間の関係性を視覚的に表した。ふとした瞬間、風に揺れるその景色に心が動かされるような家になってほしいと感じている。