別府の家
山焼きで有名な扇山の麓、築40年近くの住宅。
1階の和室2間/居間を全てLDKに、水廻り全ての位置の変更、と
大規模なリノベーションのプロジェクトでした。
初めて住まいを拝見させていただいたとき、
建物の素敵なプロポーションに一目惚れするくらい、奇麗な建築に住まれているご家族でした。
正直、触らない方が良いのでは?とも思ったくらいでした。
その後お話を重ね、現在の悩みを聞くにつれて、
この時期にリノベーションをした方が良いと決意されました。
その中で一つの問題点として挙げられたのが、扇山からの吹きおろしの風でした。
冬になると冷気が地面から床に伝わり、氷の上を歩くくらいの寒さになることが
これから歳を重ねていくご家族にとっての悩みでした。
もう一つは、DKが北側にあり暗い場所で過ごしている生活において、
「できれば明るい場所でくつろぎたい」との思いを話してくださいました。
その後建物調査を実施したところ、人が少し腰を曲げれば歩けるくらいの
倉庫として使われていた半地下があることが分かりました。
そしてそこに冷気が入り込むことが底冷えの原因だと判明しました。
対策として、冷気が上がらないように地下と床の間に発砲系の断熱を入れ、かつ、床暖を設置。
また、床の材料にもこだわり、肌触りの良い桧の無垢材を選別しました。
日々の暮らしが気持ちよく流れるように、LDKを南に配置。
テラスを創り、コンクリートのベンチを作成。この場所に座れば、別府湾が見えます。
そのような眺望を見られたときに、人は幸せを感じるのではないでしょうか。
なぜ住まいを変化させるのか?今のままでは駄目なのか?
それぞれの思いが一つのカタチを生み、新たなスタートが始まる。
私たちは、カタチにするだけでなく、心に残るプロジェクトを創り出せたのではと思います。